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ISO13485とは、医療機器の品質マネジメントシステムに関して、ISO9001の要求事項だけでは不十分であるとの認識からISO9001をベースに医療機器固有の要求事項を追加した「医療機器の安全性と品質を継続的に確保する為」に作られたセクター規格です。1996年にISO9001:1994と各国の薬事法を基にISO13485:1996が発行されましたがISO9001:2000年版が大幅に改定された事をうけて現在はISO13485:2003が発行されています。
医療機器における品質管理は、人の健康・生命に重大な影響を及ぼすものであり、安全性と安定した品質確保が要求されます。この安全性と安定した品質を継続的に確保するための規格がISO13485ということになります。
ISO9001:2000は、改定に伴い大量の文書(記録含む)を作成する事が、必ずしも品質の確保および顧客満足の向上にはつながらないとの批判に応えるため、文書及び記録に対する要求事項が大幅に削減されました。一方それをベースに改定したISO13485:2003の文書及び記録に対する要求事項は、品質マネジメントシステムの法的監査の基準として使用される各国の規則に取り入れられ、法的監査における大部分の適合性評価は客観的証拠である文書及び記録に基づくため、各国規制当局の強い要求によって大幅な削減はされていません。ISO13485は、ISO9001をベースにして医療機器特有の追加要求事項があります。特に大きく具体的な項目が加えられたのは、次の5つのセクションになります。
6.4 作業環境⇒衛生管理について4項目の要求
7.5.1 製品及びサービス提供の管理⇒滅菌・洗浄、据付け、付帯サービスについて管理を要求
7.5.2 プロセスの妥当性確認⇒滅菌とソフトウェアの妥当性確認について要求
7.5.3 トレーサビリティ⇒トレーサビリティを管理すべき項目が具体的に示された
8.5.1 改善⇒顧客への通知、苦情、不具合への対応について要求
また大きな特徴としてリスクマネジメントの考え方が導入されています。
文書化の負担としては、9001の文書化要求(手順、仕組み、計画)に対して3倍のボリュームがあります。
故に、業種にもよりますが一般的な構築〜運用〜審査までの期間は約1年を見込むことが予想され、QMSの1.5倍の作業工数が発生することが予想されます。
また、文書化に関する要求事項をISO9001:2000と比較すると次の3つの違いがみられます。
1.文書化された手順の要求事項が24項目(参考含む)
文書管理 | ||
記録の管理 | ||
教育・訓練(規制で要求されている場合) | ||
作業環境 | ||
設計・開発 | ||
購買プロセス | ||
製造及びサービス提供の管理 | ||
付帯サービス活動 | ||
ソフトウェアの妥当性確認 ※ | ||
滅菌プロセスの妥当性確認 ※ | ||
識別 | ||
返却された医療器の識別 ※ | ||
トレーサビリティ | ||
製品の保存 | ||
保管機関又は特別な保管条件の要求がある場合の製品の管理 | ||
監視機器及び測定機器の管理 ※ | ||
フィードバック | ||
内部監査 | ||
不適合製品の管理 | ||
データ分析 | ||
通知書 | ||
不具合事象の規制当局への通知 | ||
是正処置 | ||
予防処置 |
※ 要求対象
2.文書化の要求事項が23項目
品質方針の表明 ※ | ||
品質目標の表明 ※ | ||
品質マニュアル ※ | ||
法令で規定されているその他の文書化 ※ | ||
製品の仕様及びQMSの要求事項を含むまたは識別するファイル ※ | ||
責任及び権限 | ||
インフラストラクチャ | ||
要員の健康、清潔さ及び衣服 ※ | ||
作業環境条件 ※ | ||
汚染製品の管理の特別な取り決め ※ | ||
製品実現全体のリスクマネジメント ※ | ||
製品要求事項 ※ | ||
設計・開発計画 | ||
購買情報 | ||
製造及びサービス提供 ※ | ||
製造及びサービス提供の作業指示書 | ||
製品の清浄性及び汚染管理 | ||
据付活動 | ||
付帯サービス活動作業指示書 ※ | ||
製品保存作業 | ||
保管期間限定又は特別な保管条件の指示 ※ | ||
製品手直しプロセス ※ | ||
製品手直しの悪影響 ※ |
※ 要求対象
3.記録の要求事項が40項目
マネジメントレビューの結果 ※ | ||
教育・訓練、技能及び経験 ※ | ||
保守活動 ※ | ||
リスクマネジメント ※ | ||
製品が要求事項を満たしている事の実証 | ||
製品要求事項のレビュー結果と処置 ※ | ||
設計・開発へのインプット | ||
設計・開発からのアウトプット | ||
設計・開発のレビュー | ||
設計・開発の検証 | ||
設計・開発の妥当性確認 | ||
設計・開発の変更管理 | ||
変更のレビューの結果 ※ | ||
評価の結果と処置 ※ | ||
購買情報 | ||
購買製品の検証 | ||
医療機器の各バッチ ※ | ||
実施した据付及び検証 ※ | ||
実施した付帯サービス活動 ※ | ||
滅菌医療機器に対する特別要求事項 | ||
妥当性確認の結果 ※ | ||
滅菌プロセスの妥当性確認 | ||
製品固有の識別管理 ※ | ||
出荷梱包荷受人の氏名及び住所 ※ | ||
顧客所有物の紛失、損傷など | ||
特別な保管条件 ※ | ||
測定機器の不適合が判明した時の、その機器の測定結果の妥当性 ※ | ||
校正及び検証の結果 ※ | ||
計量標準が存在しない場合の校正又は検証に用いた基準 ※ | ||
検査の結果 ※ | ||
合否判定基準への適合の証拠 ※ | ||
製品のリリースを正式に許可した人 ※ | ||
能動埋込み機器の検査または試験を実施した要員の身元 ※ | ||
不適合成品の特別採用を許可した者の識別 ※ | ||
不適合成品の性質及びとられた特別採用を含む処置 ※ | ||
データ分析結果 ※ | ||
全ての顧客苦情調査 ※ | ||
是正処置及び、又は予防処置を実施しない場合 ※ | ||
全ての調査及びとった是正処置の結果 ※ | ||
全ての調査及びとった予防処置の結果 ※ |
※ 要求対象
またその他に
1. 顧客満足及び継続的改善の要求事項の変更
2. リスクマネジメント(安全性)の要求
が相違点としてあげられます。
ISO13485を取得する際には「医療機器及び体外診断用医療薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令=旧医療用具GMP)」が重要な位置づけにあります。QMS省令とISO13485との整合性は高いのですが、同一ではありません。QMS省令には日本固有の要求事項が付加されており、下の様な相違点があります。
QMS省令は業態別に要求事項が異なる。
インフラストラクチャに関連する構造設備に特別な要求事項がある。
用語の相違がある。(別表1)
用語が変更されているのと同時に内容も変更されている事項がある。
文書・記録の保管期限に対する要求が異なる。
QMS省令は品目別に適用される等運用面の相違がある。
別表1 用語相違一例
JIS Q 13485:2005 | QMS省令 |
品質マネジメントシステム | 品質監督管理体系 |
トップマネジメント | 最高監督管理者 |
経営者 | 監督管理者 |
管理責任者 | 責任技術者 |
顧客 | 製品受領者 |
品質マニュアル | 品質監督管理体系基準書 |
内部コミニュケーション | 内部情報伝達 |
レビュー | 照査 |
インプット | 入力情報 |
アウトプット | 出力情報 |
フィードバック | 意見 |
妥当性確認 | バリデーション |
予防処置 | 予防措置 |
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