ISOコンサルタント:トップ >IATF16949取得支援 > FMEA:故障モード影響解析
FMEA(故障モード影響解析)とは、製品、設計、製造工程の潜在的な欠点(故障)を予測し、構成要素の故障モードとその上位アイテムへの影響を解析し、故障発生の可能性を減少させる手法です。故障モードとは、例えば、断線、短絡、折損、磨耗、特性の劣化などであり、「故障そのものではなく、故障をもたらす不具合事象の様式分類」となります。IATF16949では、FMEAを量産前の製造プロセスに適用し、故障を引き起こす恐れのある工程を分析・摘出します。また、FMEAには「設計FMEA」と「工程FMEA」があります。設計FMEAは、製品設計段階を、工程FMEAは工程フローチャート案をレビューし、製品を成す部品・ユニット毎に単純化された故障モードをリストアップし、これらの故障モードが製品に及ぼす影響(故障影響)及びその程度を予想し、潜在的な事故・故障を設計及び初期工程段階で予測・摘出します。
設計FMEA(設計故障モード影響解析:Design FMEA)は、製品設計・開発の初期段階で実施します。製品構成図や製品を構成する部品・ユニット毎に故障モードを列挙し、これらの故障モードが製品に及ぼす影響を予想し、潜在的な事故・故障を設計・開発の段階で予測・摘出し対処する事により故障発生の可能性を回避・低減させる解析手法となります。設計FMEAは、IATF16949:2009の7.3.1.1「部門横断的アプローチ」で実施し、7.3.2「設計・開発へのインプット」、7.3.2.2「製造工程設計へのインプット」、7.3.3.1「製品設計からのアウトプットー補足」、7.5.1.1「コントロールプラン」などに反映することが重要です。
一方、工程FMEA(工程故障モード影響解析:Process FMEA)は、製造工程に着目して実施します。製造工程の設計開発の初期段階で検討することにより、故障発生の可能性を回避・低減させる解析手法となります。設計FMEAと違うところは、製造工程フロー図を基に行う事と、故障モードの抽出の視点が製品そのものでなく、製品を製造するためのものになり(人、材料、設備、方法、環境など)、例えば人の作業を必要とする工程では、ヒューマンエラーを考慮する必要があります。工程FMEAはIATF16949:2009の7.3.3.2「製造工程設計からのアウトプット」及び7.5.1.1「コントロールプラン」などに反映します。
FMEAの評価方法は、故障が発生した場合の影響度(S)、故障の発生度(O)、故障検出度(D)を用いた危険優先度(RPN:Risk Priority Number)により、 RPN=S×O×D を算出し、RPNの高いものから予防改善を進めていきます。
【影響度(厳しさ S)の評価基準】10段階(例)
影響度 |
評価基準 |
ランク |
前兆なしの危険 |
安全運転影響、法規定違反 |
10 |
前兆のある危険 |
安全運転影響、法規定違反の前兆 |
9 |
非常に高い |
主機能動作不良 |
8 |
高い |
主機能性能低下、劣化 |
7 |
中程度 |
動作可能であるが快適性悪化 |
6 |
低い |
動作可能であるが快適性低下 |
5 |
非常に低い |
ノイズ発生。多くの顧客(>75%)が気付く |
4 |
僅 |
ノイズ発生。半数の顧客が気付く |
3 |
非常に僅 |
ノイズ発生。少数の顧客(<25%)が気付く |
2 |
なし |
顧客は故障に気づかない |
1 |
【発生度(O)の評価基準】5段階(例)
発生度 |
故障発生の程度 |
ランク |
非常に高い(回避不可能) |
≧ 1/3 |
5 |
高い(頻発) |
1/8 |
4 |
中程度(時々発生) |
1/80 |
3 |
低い |
1/15,000 |
2 |
非常に低い |
≦ 1/1,500,000 |
1 |
【PFMEA検出度(D)の評価基準】10段階(例)
検出度 |
評価基準 |
ランク |
不可能 |
故障原因発見不可能 |
10 |
非常に僅 |
非常に僅な機会に発見可能 |
9 |
僅 |
目視検査:製造プロセス後 |
8 |
非常に低い |
目視検査:製造プロセス |
7 |
低い |
ゲージ検査:製造プロセス後 |
6 |
中程度 |
ゲージ検査:製造プロセス |
5 |
やや高い |
自動制御:製造プロセス後 |
4 |
高い |
自動制御:製造プロセス |
3 |
非常に高い |
自動制御:製造プロセス中 |
2 |
ほとんど確実 |
完全な予防管理を実施 |
1 |
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