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HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Point(訳:「危害要因分析重要管理点」) の頭文字をとった造語で口語的表現として、「ハシップ」とか「ハサップ」と言われます。HACCPを簡単に説明すると、「微生物や異物が残ったままの食品を、食べる人まで届けてしまわないために、微生物や異物を除去する重要な工程を管理すること」です。2021年6月1日より『改正食品衛生法』により、食品を扱う全事業者はHACCP システムの導入が義務化されました。ただし、一律に同じレベルで導入するのではなく、基準A(HACCPに基づく衛生管理)と基準B (HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)というように、組織の規模により導入するHACCPのレベルが分けられています。HACCPの構築支援・運用のコンサルタントは是非スリープロサポートへお任せください。
様々なHACCPのコンサルプランで幅広く対応します。
HACCPによる「重要な工程を管理する」とはどういうことでしょうか。例えばクッキーを作っている工場があるとします。受け入れた原料の小麦粉には微生物が残っている可能性がありますよね。このとき、この微生物を除去することができるのは、「クッキーを焼く」工程です。「170℃以上で20分以上加熱する」という条件で微生物が確実に除去できるとします。そうすると、その工程では条件以上の加熱ができなければ、微生物が残っている可能性があります。また、時間をはかるタイマーや温度を調べる温度計などもしっかり機能しているか確認しなければ、本当に条件を達成しているか分かりませんよね。
これらを確認し確実に実行することが、「重要な工程を管理する」ということです。
「そんな事解ってるけど、それを具体的にどの様に管理するかわからないから困ってるんだ!」という食品関連製造業者に対して「HACCP」が作られたわけです。組織は食中毒の事故を起こさない様にする為に、その手段として「HACCP」を構築・実践する為には、以下の手順・原則を実施すればいいわけです。
手順1 HACCPチーム編成 :
「HACCP」を組織で構築・実践する時、最初に行う事はHACCPチームを作る事です。HACCPチームの役割は効果的な「HACCP」を構築する事ですので、メンバーの人選は慎重に行います。基本は、原材料購入(Input)から、出荷(Output)までの全ての業務の情報が集まるように、各部門の実務に精通した人を選出します。例えば、「研究開発」、「業務・購買」、「品質管理・保証」、「設備担当者」、「商品ライン担当者」、など、出来る限り多くの部門から集めることで、様々な視点で検討できますし、漏れのないHACCPができ、各現場に反映しやすくなります。効果的なHACCPを効率よく構築できるという事です。
手順2 製品説明書の作成 :
手順2は製品説明書の作成です。ここでは、手順2の「製品説明書の作成」と手順3の「意図される使用方法、対象消費者の確認」を「製品説明書」として作成します。製品説明書は、「商品の情報を整理する」という目的があり、決まった書式というものはありませんが必要項目として、製品名、原材料、添加物、包装容器形態、製品規格、使用方法、保存方法、消費・賞味期限、商品の特徴などを項目としてあげます。取引先から入手する原材料や包装の仕様書などを活用し、必要なものはどんどん項目として追加しましょう。
手順3 用途及び対象者の確認 :
手順3では、「意図する用途」と「対象となる消費者」を確認します。手順6(原則1)で「危害要因」を検討する為には、製造する食品が「誰に」、「どの様に」使用されるかを予め確認しておくことがHACCPでは重要な情報となります。「意図する用途」には、食品がそのまま喫食されるのか、加熱されるのか、他の食品の原材料に使われるのか、などを、また、「対象となる消費者」では、一般消費者なのか、病人や乳幼児なのか、など、実際に食品が使われる場面を想定し、「製品説明書」に書き出していきましょう。
手順4 製造工程図の作成 :
手順4では受入から製品の出荷、もしくは食事提供まで作業の流れを工程ごとに書き出し、「製造工程の一覧図(フローダイアグラム)」を作成します。HACCPにおけるフローダイアグラムは以下の手順で作成します。
@ 原材料や工程を枠で囲んで記載
A 加熱温度などの設定値を記載
B 枠を矢印で結ぶ
C 工程順に番号を付ける
D 仕掛け品など、本線とは異なる工程があれば記載
E 清潔ゾーン、準清潔ゾーン、汚染ゾーンの区分線を記載
手順5 製造工程図の確認 :
手順5では、手順4で作成したフローダイアグラムを現場で確認します。実際に現場で確認すると、あったはずの装置・設備・器具が無くなっていたり、工程が変わっていることがあるので、実際に製造を行っているときに確認するようにしましょう。隅々まで確認し、異なる点があれば適宜修正しましょう。
手順6(原則1) 危害要因の分析 :
ここからのコンテンツではHACCPの「原則と内容」について学習します。HACCPは7つの原則から成り立っており、前回学習した手順1〜5までは原則1〜7までを実施する為の準備となります。ですのでHACCPの核心は「7原則」になり、この7原則を実施する事を「HACCPプランの作成」と言います。まずは、原則1「危害要因(ハザード)分析」を学習しましょう。
【危害要因とは】
「危害要因」とは、最終製品を食べたときに健康に悪影響をもたらす可能性のある「物質」や「食品の状態」の事で「「ハザード」ともいいます。ハザードは、「生物学」(病原菌など)、「化学」(残留農薬など)、「物理的危害」(髪の毛など)の3つの視点から想定されるものを洗い出します。
【危害要因分析フロー】
@ フローダイアグラムを基に、原材料や工程ごとに発生しうるハザードを列挙する。
A 危害の程度を評価する。(発生頻度×重大性で点数化する)
B ハザードの原因を特定し、原因を除去する防止策を立て、実行する。
手順7(原則2) 重要管理点(CCP)の決定 :
危害要因を除去・低減すべき特に「重要な工程を決定」します(加熱殺菌、金属探知等)。重要管理点とは原料、製造工程のポイントで、ミスをすると食品の危害に繋がってしまう「ステップ」(工程)をいい、HACCPプランの最重要項目になります。CCPはハザード分析で抽出したハザードを除去、許容レベルまで低減する為に、「特に厳重に管理する必要」があり、「それ以降の工程で同様に管理できない場合」、その「工程」が「CCP」となります。(手順6のハザード分析で是正できた、出来なかったハザードを含みます)
【CCP設定のポイント】
では、どこからがCCPか?というのを決定する必要があるのですが、それを決定するツールとして「Codex委員会のCCP判断図(デシジョンツリー)」がありますので、その様なツールを利用してCCPを決定しましょう。ただ、このツールでも「CCPではない」となった工程であっても、作業手順は明確か?管理手順を見直す必要はないか?(今まで通りで良いの?担当者でバラつきはないか?SOP.SSOPは整備されているの?)の視点でも確認するようにしましょう。また、以下の要件を再確認しましょう。
◆ この管理ポイントをミスしたら不良食品が発生する
◆ 製造プロセスで、連続もしくは適切な頻度でモニタリングでき、記録もできる
◆ 管理すべき項目を自ら制御できる
手順8(原則3) 管理基準(CL)の設定 :
次に、危害要因分析で特定したCCPを適切に管理・遵守するための「基準」を設定します。管理基準は、「科学的に裏付けされた基準値」であることが条件です。言い換えれば、食品の安全を確保する為の「限界値」ともいえます。ですので、実際の製造現場では「管理基準」より厳しい管理基準に安全率を掛けた値の「作業基準」(工程管理基準:OL)を設け、管理基準に達しない前に処置できるようにするのが一般的です。
※ 安全率とは食品の種類、その場の環境状況に応じて決まる率です。
【基準設定のポイント】
◆ リアルタイムに判断できる事
◆ 管理基準は、温度、時間などの「物理的」、PH、水分活性、糖度、塩分などの「科学的」、外観、味の様な「官能的」なそれぞれの測定値や指標を用いる
手順9(原則4) モニタリング方法の設定 :
モニタリングでは設定されたCCPが正しく管理されているかを適切な頻度で監視し、記録します。当然、管理基準や作業基準を逸脱していたら速やかに是正処置をとり、基準内に収める活動も含めます。
【モニタリングのポイント】
◆ モニタリング頻度は、データのばらつきや、管理基準からの余裕度により決める
◆ 人手による記録の場合は十分なモニタリングスキルを確保する
◆ 速やかに結果を得られるようにする
手順10(原則5) 改善措置の設定 :
モニタリングの結果、CLが逸脱していた時に講ずべき措置で、いわゆる是正処置を設定します。是正処置とは、問題の根本的な原因を取り除き再発防止を行う事で、設定するという事は、迅速・的確に取るべき措置をあらかじめ決めておくことです。
【是正処置の手順】
◆ 逸脱した状況を正常な管理に戻す (目的)
◆ 逸脱時に製造された製品の区分と隔離 (目的)
◆ 原因の究明と再発防止策の決定
◆ 一連の是正処置の記録
手順11(原則6) 検証方法の設定 :
「検証」とは、製造プロセスの活動が「HACCPプラン」に従って管理が行われているか客観的に確認し、修正が必要かどうか検討します。モニタリングと違うのは、検証では現場以外の要因により、「CCP」だけではなく、「モニタリング」も含め正しく行われているかどうか「HACCPプラン」まで踏み込んで検証します。また、検証は外部の第三者的な立場(顧客、規制当局など)の人により行われる場合もあり、この場合、微生物検査、科学的検査が中心となります。検証は適正な頻度で実施し、HACCPプランの見直しの必要性を検討します。
【検証のポイント】
◆ HACCPプランに従い実際に管理ができているか「HACCPプランごとに検証」する
◆ HACCPプランが有効に機能しているか「HACCPシステム全体を検証」する
手順12(原則7) 記録と保管方法の設定 :
手順の最後は「記録の維持・管理」になります。HACCPでは正確な記録を保存することは最も重要な取り組みの一つです。記録はHACCPを実施した証拠であると同時に、問題が生じた際には工程ごとに管理状況を遡り、原因追及の助けとなります。どの様な記録を、どの様に保存するかあらかじめ決めておきましょう。記録は「鉛筆書き」は避け、簡単に修正ができないようにボールペンなどを使用するようにしましょう。記載ミスなどで記録を書き直す必要が生じる場合がありますが、「書き換えた」という事実も重要な記録です。
※ HACCP手順1〜5はHACCP原則1〜7を進めるにあたっての準備となります。
※ HACCPチームは、専門的適知識を補う為HACCPコンサルタントを含めると良いでしょう。
※ HACCPにおける危害要因とは健康に悪影響をもたらす原因となる可能性のある食品中の物質または食品の状態。
HACCP危害要因は以下の3つに分類されます。
@ 生物的:原料由来あるいは工程中に汚染を受ける可能性がある微生物。
A 物理的:金属、ガラス、硬質プラスティックなどの混入する可能性がある硬質異物。
B 科学的:原料に残存している可能性がある農薬、誤って混入する可能性がある化学物質。
2021年6月1日より『改正食品衛生法』により、食品を扱う全事業者はHACCP システムの導入が義務化されます。HACCPのコンサルタント(HACCP構築、HACCP運用)は是非TPSにお任せください。
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